東京にあるオアシス 等々力渓谷

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東京にあるオアシス「等々力渓谷」東京23区内で唯一の渓谷

1滝の音が近隣に轟いていたことから名付けられたという、東京都世田谷区の等々力渓谷。
私は東京に住んで10年以上になりますが、等々力という地名は聞いた事があっても渓谷があることは全く知りませんでした。それもそのはず、こちらは東京23区内で唯一の渓谷なのです。
私たちの祖先が生活を営んでいた古墳もあり、太古の文明の形跡を、垣間見ることができる大変貴重な場所です。東京の区内に存在しているここ等々力渓谷は日本のネイティブを感じることができるパワースポットです。

あいにくの曇り空のもと、電車に揺られて初めて降り立った東急大井町線・等々力駅。
駅を出るとすぐに周囲の空気が明らかに違うのが分かります。肌に触れる粒子が細かく感じられ、しっとりとした水分を含んでいます。秋の午後の淡い光線が、渓谷の緑をふわりと照らして浮かび上がらせています。谷沢川に架かる橋のたもとから竹林に囲まれた階段を降りて行くと、そこには都内とは思えない清涼さに満ちた空間が広がっていました。

まず真っ先に目に飛び込んでくるのが、朱色の架け橋と森林の緑のコントラスト。
しばらく歩を進めて行くと小高い斜面には迫力の不動明王像。そして不動明王像を挟むようにして流れ落ちる2本の滝。

2それはさながら水の神・龍神の涙のようにも見えます。火、強さ、威厳の象徴である不動明王と、その足元から滴り落ちる水の優しさ、安らぎ、浄化の力。
この二つの対極的な力が絶妙なバランスを取り合って、渓谷の完結した世界の均衡を保っています。どちらが欠けても成り立たない、調和と対比の美しさ。燃え盛る炎をなだめるように、火の鮮やかさを引き立てるように、滝の水は心地良い音色を響かせながら悠久の旅のハイライトを迎えています。そんな滝の周りには人々が次々と現れます。散歩の途中で休息をしたり、写真を撮り合ったり。地元の人々と観光で訪れた人々が、同じ空間でのんびりと寛いでいます。

周囲を見渡せば渓谷のたっぷりとした木々の緑と川の水が互いに混じり合って上昇し、自然に生まれた気の流れが渦を描いて空へと舞い上がっているのを感じます。
そんな景色をぼんやりと眺めていると、まるで私のほうがこの川に住む龍神の美しく澄んだ瞳に見つめられているような錯覚に陥ります。きっとこの龍神様は、永きに渡って地元の人々に愛されてきたのでしょう。歴史の積み重ねによって育まれた、人々と川の感謝の交流。その絆が生み出した確かな龍神の存在が感じられて、いつしか私の心の中も、感謝の気持ちで満たされていました。

谷沢川が多摩川と合流するまでの約1kmほどの散策路。

周囲の世界より10m低い、等々力渓谷という小さな世界。

日々の暮らしを楽しみ慈しむ上で欠かせない贅沢なこの空間では、自然と人との温かな交流を素直に感じる事ができるはずです。

3渓谷の中ほどにある横穴式古墳は、我々の祖先から受け継がれ、ここに住む人達が守ってきた場所です。発掘されたのはそう遠くない過去だとは思いますし、古墳など何処にでもあると仰る方もいるかもしれません。しかし現代社会では、我々の利便性が優先され、よほど貴重なものでない限り埋め立てられてしまうのが現状です。その土地を馴らし、家やビルを建てて暮らしている我々にとって、古代の生活を振り返ることができる本当に貴重な場所なのです。
ここには私たちのDNAに刻み込まれている偉大な叡智があります。

 

私たちの子孫のためにも、このような場所をできる限り残して伝えていくことが、本来の都市のあるべきカタチなのかもしれません。

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